ジーン・ディクソンはケネディ暗殺を予言したとして有名になったが、外れた予言も多いことで知られる

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呪われた森>ケネディ暗殺を予言した「ジーン・ディクソン」


ケネディ暗殺を予言した「ジーン・ディクソン」

ジーン・ディクソンは、第二次世界大戦中にフランクリン・ルーズベルト大統領に二度招かれ、1944年11月と1945年1月にホワイトハウスを訪れたとされていた。

一度目には国際情勢を聞かれ、米ソの冷戦を予言したといい、二度目には大統領自身の死期を聞かれ、その年の上半期に仕事を完遂しきるべきという助言をしたという。ルーズベルトはその年の4月に亡くなり、予言は見事に成就したとされる。しかし、このエピソードは後に彼女自身が主張したことによって知られるようになった話であり、ディクソンが実際にホワイトハウスを訪れたことは一切証明できなかったという。

実際にいつから予言で知られるようになったのかについては、ディクソンの宣伝的な伝記を書いたルース・シック・モンゴメリーは、ディクソンの予言に関する記事が1944年にはワシントンの新聞に載るようになっていたと主張していて、1946年に『アーミー・ジャーナル』に載った「国家」と「あなたがた」の関係に触れた一節が、のちのジョン・F・ケネディ大統領の就任演説に登場した有名な一節の下敷きになったとも述べていた。予言に関して好意的な著書をまとめた元『ニューズウィーク』編集次長のジャーナリスト、ジェス・スターンは、1948年の大統領選挙でハリー・S・トルーマンの勝利を予言していた記事が、事前にワシントンの新聞に載っていたと主張していた。

以上はディクソンに好意的だった人々の証言だが、ケネディ大統領暗殺を予言したと言われていることについては、懐疑的な検証においても部分的に確認されている。具体的に確認されているのは、彼女が1956年5月13日の『パレード』誌において、1960年アメリカ合衆国大統領選挙で民主党候補が勝利することと、その人物が執務室で暗殺されるか死ぬかすること、さらにそれが最初の任期中とは限らないことを予言していた点である。ただし、この一見するところ民主党候補のケネディの当選と暗殺を的中させたかに見える予言も、細部の情景が一致していないことや、死の状況も暗殺かそれ以外の死かの二者択一であいまいに書かれていることなどに対して批判がある。また、アメリカ大統領は20年ごとに在職中の死によって任期をまっとうできない人物が選出されるというジンクスが当時から知られており、彼女はそれを念頭に予言したのではないかという指摘もある。

また、彼女はのちに1960年の大統領選挙でリチャード・ニクソンが当選するという正反対の予言もしており、しかもその予言には共和党の努力しだいというような条件までが付けられていたため、外れても釈明できるようになっていた。それどころか、1960年の選挙でケネディが落選すると明言したことさえあったのである。モンゴメリーによると、ディクソンはそれらの予言について、実際にニクソンが当選するはずだったが、選挙に不正があったのでケネディが選出されてしまったという内容の釈明をしたことがあったという。

ケネディ暗殺については、暗殺されたのと同じ時間にディクソンが知人たちと一緒に昼食をとっていたところ、ケネディが銃撃されて安否不明という一報が入った時点で、すでに彼は死んでいると断言したという話もある。この話は居合わせたという知人たちが証言しているとされるが、志水一夫はこれについて、この種の記憶は後から無意識に改変されることがあるため、もしも時間がずれていたのなら、彼女が死亡の第一報に接した上でそのような発言をした可能性があることを示唆していた。

また、暗殺については、リンドン・ジョンソン副大統領の執務室から黒い手がネームプレートを外す幻を見たという予言によって、ジョンソンの大統領昇格を的中させたと言われることがある。これについて山本弘は、このようなあいまいな表現ではジョンソンが失脚した時にも的中とされたであろうことを指摘している。

なお、日本では黒沼健がジーン・ディクソンの予言について比較的早い段階から紹介しており、ケネディ暗殺の予言的中にしても、暗殺直後にあたる1963年11月23日の『北海道新聞』夕刊の談話でいち早く言及していた。翌年に刊行された著書での黒沼自身の主張によれば、彼はジェス・ステアンの文章によってケネディ暗殺の予言を知っていたが、書くのが憚られるとして新聞の連載記事でも触れないでいたところ、実際に暗殺されたので驚いたという。

ジーン・ディクソンは、著書や雑誌で発表した時点では未的中だった予言を多く残していた。日本語文献では志水一夫、山本弘、本城達也らがまとまった数の検証を行なっているが、当たった予言はほとんどないと判定されている。たとえば、彼女の予言によれば、金門島と馬祖島を巡る争いが1958年に第三次世界大戦の引き金を引くはずだったし、アメリカの労働組合の指導者のウォルター・ルーサーは1964年の大統領選挙に出馬するはずだったし、最初に人類の月着陸を実現するのはソ連のはずだった。最初の2つについては、モンゴメリーの紹介本の前書きでも、予言が100%当たるわけではない例として挙げられている。

(出典参考 Weblio辞書)
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